同じ焦点距離のレンズでも、センサーが小さくなると写る範囲は狭くなります。その違いを35mm判フルサイズで使った場合の焦点距離に置き換えたものが「35mm判換算焦点距離」です。ただし、換算値はレンズ自体の焦点距離が変化したことを意味しません。撮影位置、遠近感、被写界深度、ボケ量まで同じになるという表現でもありません。このページでは、センサー寸法から換算値と実際の画角を求める方法を整理します。
実焦点距離とセンサー寸法から換算値・画角を確認できます
35mm判換算焦点距離の基本式
35mm判フルサイズの撮像面を36×24mmとすると、対角線は約43.27mmです。入力したセンサーの対角線を横幅と縦幅から求め、次の式でクロップファクターを計算します。
クロップファクター=43.27÷センサー対角mm
35mm判換算焦点距離=実焦点距離×クロップファクター
例えば23.5×15.6mmのセンサーは対角約28.21mm、クロップファクターは約1.534です。50mmレンズなら、35mm判換算は約76.7mmになります。センサーの実寸は同じ呼称でも機種により異なるため、正確さが必要なら仕様表の有効撮像範囲を入力してください。
換算値と画角はどう関係するか
画角はセンサーに写る範囲を角度で表したものです。センサーの一辺または対角線をd、実焦点距離をfとすると、画角は次の式で求められます。
画角=2×atan(d÷(2f))
23.5×15.6mmのセンサーに50mmレンズを付けた場合、計算上の画角は水平約26.4度、垂直約17.7度、対角約31.5度です。この値は無限遠にピントを合わせた単純な幾何モデルです。実写ではレンズ設計、歪曲補正、ピント位置などにより少し変わることがあります。
対角換算と水平画角が一致しない場合
一般的な35mm判換算は対角線を基準にします。35mm判の縦横比は3:2ですが、別の縦横比を持つセンサーや、動画のクロップ領域では、対角画角を合わせても水平・垂直の両方が完全には一致しません。そのためツールでは、通常の対角換算に加えて、水平画角を基準にした参考焦点距離も表示します。
水平換算は実焦点距離×36÷センサー横幅で求めます。これは一般的な製品表記を置き換える値ではなく、横方向にどれくらい写るかを比較する補助値です。構図を検討するときは、換算焦点距離だけでなく水平・垂直・対角の実画角も確認すると誤解を減らせます。
換算焦点距離で変わらないもの
- レンズに刻印された実焦点距離
- 同じ撮影位置から見た被写体同士の遠近関係
- レンズ固有の収差、歪曲、周辺像の性質
- 物理的な絞り径やレンズの明るさそのもの
小さいセンサーで同じ構図にするため後ろへ下がれば、撮影位置が変わるので遠近関係も変わります。また、同じ構図・同じ被写界深度・同じボケ量まで比較するには、撮影距離や絞りも含めて考える必要があります。換算焦点距離は、まず「写る範囲」を共有するための目安として使うのが適切です。
動画撮影では追加クロップに注意
カメラによっては、手ぶれ補正、特定フレームレート、読み出し方式などにより、静止画より狭い範囲だけを動画に使うことがあります。この場合、センサー全体の寸法だけで計算した画角とは一致しません。動画モードの追加クロップ率が仕様として示されている場合は、その倍率も別に掛けて考えます。数値が不明な場合は断定せず、実機の画面表示やテスト撮影で確認してください。
まとめ
35mm判換算焦点距離は、センサー対角線から求めたクロップファクターを実焦点距離に掛けて計算します。異なる縦横比では対角換算と水平画角に差が出るため、実画角も併せて確認すると構図を具体的に比較できます。換算値はレンズの物理特性すべてを同一にするものではなく、写る範囲を比べるための指標です。
